高校三年生の頃、友達と遊ぶお小遣いがもっと欲しくてアルバイトに興味を持ち始めました。

アルバイト自体初めての経験でどう探していいのかも分からず、そんな時ちょうど同じクラスでバイトをしていた友達が「人が足りないから」と誘ってくれました。

そこは自宅から少し離れた場所にあるスーパーマーケット内の精肉店。店頭に並べる商品をパック詰めしたりする、いわゆるバックヤードの仕事です。

スタッフは50代くらいの男性社員が三人、男子高校生が二人、そして友達と私の七人。この社員の中の一人がチーフだったのですが、見るからに頑固で気難しい職人気質の男性。

アルバイトが初体験でとにかく全てが鈍くさく見えてしまったのでしょう、私はこのチーフに早々から目をつけられてしまいました。

搬入されてくるお肉の塊をスライスするのは主に社員さん達の役割で、私たち学生はそのお肉のパック詰めや店頭の商品のチェック、店内の掃除などを任されます。パック詰めする際ラップを巻き付ける大きな機械があるのですが私はこれの扱いが苦手でかなり苦労しましたね。

シワが出来ないようピンとラップを巻くことが鉄則ですが、私がやるとどうしてもたるんでしまったり一部にシワが出来てしまったり。当然店頭には出せず、やり直し。

あまり何度も繰り返すと機械の熱でお肉が傷んでしまうので、迅速正確な作業が求められる地味だけれど大事な仕事です。急がなければと焦る度に力加減が狂い商品を駄目にしてしまう私に突き刺さるチーフの冷たい視線。

口で説明するより見て覚えろと言わんばかりに最初からアドバイスはほぼなし、なのに失敗すると激怒し周りに当たり散らす始末。

ごみ箱を蹴り倒したり機械を殴り付けたり、「こんなもん商品になるか」とパック詰めしたばかりの商品をそのままごみ箱に捨てられることもしょっちゅうでした。

それ以上に辛かったのはそんな厳しい態度を取られるのは私だけで、他の学生に対しては愛想良く他愛ない雑談で盛り上がったりしていること。

私以外の学生はそれなりにキャリアもあり仕事が出来るからということもあったのでしょうが、アルバイトが初めての学生だった私はとにかくこのチーフの存在が恐ろしく、職場へ通うことが徐々にストレスに。

いつ怒鳴られるのかと毎日ヒヤヒヤしながら仕事をしていました。

なので私が考えた作戦は、別の味方を作ること。社員はチーフの他に二人いたので、私はこの二人と仲良くすることでチーフの攻撃から守ってもらったり、さりげなく助言してもらったりしていました。

私は顔を合わせると恐くてとても対抗できませんでしたが、チーフと同年代の男性の口から「ちょっと厳しくしすぎなんじゃないのか」などと一言注意してもらうと、少しは聞く耳を持ってくれるようです。

徐々にチーフが私に対して声を荒げることは減っていき、以前に比べて随分仕事もしやすくなりました。

結局そのアルバイトは、高校を卒業するまで一年近く続けましたね。「仕事が辛い」と感じるには人それぞれ理由があります。

もしそれが人間関係からくるものであれば、新しい他の人間関係を自ら作ってしまうというのもありかもしれません。あなたの頑張りや魅力をしっかり見ていてくれて評価してくれる人は、どんな狭い場所にも一人はいるもの。

そんな人をまず見つけ、近付いて仲良くなってしまいましょう。どうしても見付けられなければ新しく入ってきたスタッフさんでも良いかもしれませんね。

自分なりに打開しようと頑張ってみてももし解決できなければ、思いきってアルバイトを変えてみる勇気も大切。社会人になって社員として働くようになれば、なかなかそう何度も転職することはできません。

アルバイトは経験や知識を増やし、そして何よりも「楽しく仕事をする」体験を積み重ねていく非常に有効な場所だと思うんですね。楽しく働けずストレスを抱えいやいや仕事をするくらいなら、思いきって今いる場所を変えてみましょう。

そうすることでまた新しい視野や可能性が見えてくるかもしれません。